2012年2月15日
【筑波大学新聞コラム】 柔道 遠藤宏美選手(体育1)

endo-moto.jpg

昨年10月に行われた全日本柔道選手権大会の決勝戦。

ひと月前の全日本ジュニアの決勝で高校生に負けたばかりで、

決意新たに挑戦者として大会に臨んだ選手がいる。

彼女の名前は遠藤宏美(体専1年)。

日本柔道界期待の新星だ。

 

 

多くの声援を背に、遠藤はいよいよ頂上決戦に臨む。

相手はこれまで何度も戦ってきた塚原唯有(環太平洋大)。

相手の払込巻や大内刈を難無く受けると、絶妙な大内刈で「技あり」を先取。

その後の反撃も冷静に対処し、背負い投げで「有効」を追加。

最後は相手の下へもぐりこみ、素早く背負い投げを決め一本勝ち。

最後まで塚原にペースを握らせなかった。

「試合ではあまり決まらないけれど、一番得意な背負い投げで試合を決められたら」と語った遠藤。

言葉の通り背負い投げで勝負を決め、堂々の優勝を飾った。

また一つ、遠藤に勝利が刻まれた瞬間だった。

 


遠藤の人生は柔道と共にある。

父の影響を受けて4歳で柔道を始め、小学生の頃には近所の道場で日々汗を流していた。

中学3年の時に全国中学校柔道大会で優勝し、高校1年の時には全日本ジュニアで優勝。

高校3年の時にはインターハイを制覇するなど、まさに無敵の柔道人生を送っている。

本学に入学してからもアジア選手権や世界ジュニア選手権大会で優勝しており、その実力を存分に発揮している。

 


誇るに申し分のない強さを持つ遠藤だが、自身の強さには意外と謙虚だ。

「全国大会やインターハイで優勝したいという目標を持って練習していただけで、

自分が強いという実感はなかった。優勝した時も『目標が叶った』という実感が大きかった」

と、中学時代や高校時代を振り返る。

しかし次々と結果を重ねていくうちに、彼女の中には「負けたらどうしよう」という気持ちが生まれ、

試合で緊張するようになったという。

そんな時高校の先生から伝えられた「『勝ちたい』と思って試合に行け」という言葉が試合に対する意識を変えた。

「『勝ちたい』と思うほうが強い気持ちで戦える。試合が怖くなくなった」と遠藤は語った。

 


謙虚さと闘志を兼ね備えた遠藤だが、道着を脱げばおっとりとした素顔が見える。

時間がもったいないと思いながらも休日はずっと寝ていたり、

好物の白米に合う煮物を作ったりするなど、まったりとした大学生活を送っている。

日常生活で柔道のことを考えることはあまりなく、柔道部に所属する饒平名知子さん(体育1)は

「しっかりしているけどどこか抜けた一面がある。けれど柔道のこととなると目つきが変わる」と遠藤のことを語った。

 


現在の目標はオリンピックでの金メダル。

高校2年で海外の大会に出場したり強化選手に指定されたりするうちに生まれた目標だ。

「この目標は絶対に叶えたい。表彰台の頂上に辿り着くまでは、どんなことがあっても柔道を頑張りたい」

と遠藤は力強く語った。

高みを目指してどこまでも突き進んでいく彼女の強さと闘志は、いつの日か世界の頂点で花開くだろう。

 

(取材・文責 筑波大学新聞 原啓一郎:社会学類)