2011年9月 5日
【アスリートの顔】 大学院生特集Ⅲ~フリークライミング 小林由佳選手~

yuka.jpg2011年7月の海外連戦を終えたフリークライミングの小林由佳(院2)選手。
7歳からクライミングを始め、筑波大学に進学後も、運動部に所属せず
個人で世界と戦ってきた。
学生最後のシーズンを終えた小林選手に話を聞いた。

 

【プロフィール・経歴】

小林由佳(こばやし ゆか) 
筑波大学人間総合科学研究科2年 身長157cm 茨城県出身

 

 

 

 

7歳でクライミングを始め10歳でトップクライマーが競うジャパンツアーに参戦 
2001年(中2)  ジャパンツアー史上最年少優勝、 その後2005年まで4年連続シリーズチャンピオン
2004年(高2)  ワールドカップ史上最年少出場 中国大会第5位
2005年(高3 ) ワールドカップ   フランス大会・中国大会第3位
2009年(大4)  世界選手権 第4位 ワールドカップフランス大会第6位
2010年(院1)  ワールドカップ   中国大会第2位
2011年(院2)  世界選手権 準決勝進出

 

 

(Q1) フリークライミングを始めたきっかけ

 

父がもともとアウトドア好きで、アウトドアショップに行った時に店内にフリークライミング講習会
のチラシが貼ってあったんです。それを見て、気軽に「行ってみよっか!」という感じでした。
今もこんなに熱中することになるなんてあの時は予想もしていませんでした(笑) 
今は徐々に増えてきていますが、当時はクライミングをやっている子どもが少なく、講習会の先生や
周りの方が、実際の岩場によく連れていって下さったり、本当に熱心に教えて下さったおかげだと
思っています。 110706_204744.jpg

                    (写真右:自宅に設置したジムでの練習)

 

 

(Q2) フリークライミングの面白さ

 

一般的には、やはり男女・年齢・身長・体格などの差が、他のスポーツに比較して結果に影響しにくいという特徴があります。バランスや柔軟性など、自分の得意な部分を最大限活かすことで、小さな女の子が大きな男性に勝つことだって
できます。

私が最もクライミングを好きな理由は、『自分のペースでできるところ』ですね。
チームプレーでも、対人スポーツでもないですし、向かい合う壁は、
いつも変わりません。
自分自身の状態と向き合い、自分1人で挑んでいく、そういう所がすごく合ってるんだと思います。

 

 

 

(Q3) 筑波大学に進学した理由

 

284518_240405119333295_209192025787938_758043_5109840_n.jpg自分と同じように、世界と戦っている人たちに揉まれ、高め合っていきたいと考えました。
やはり、中学・高校時代は部活に入らず1人で海外を転戦していたりすると、
学校の中ではちょっと特殊な存在だったんですよね(笑) 
でも筑波大学では、競技面でも研究面でも世界のトップレベルを目指していて、
クライミングを続けていく上でとても理想的な環境だと思い進学しました。

(写真左:2011年世界選手権(イタリア・アルコ)) 

 

 

 

 

(Q4) 壁にぶつかった時期

 

メディアに取り上げられるようになったこともあり、フリークライミングの競技特性が、
よりショー的なスポーツを目指す動きがあります。じっくりじわじわと登る、という持久的な要素から、
より大胆で困難なムーブ(クライミング中の身体の動かし方)を次々にクリアする瞬発的な要素が
求められるようになりました。
私は、柔軟性や持久力を強みとしていたので、その変化に十分に対応できない時期があり、
毎年出場し続けていた2008年のワールドカップシリーズを辞退し、トレーニングに専念しました。

大会に出場し続けることはとても大切で、辞退した年は、周囲の変化への焦りもありました。
しかし、私には「クライミングが好き」という思いがあったので、結果に左右されず目の前の目標を
着実に1つ1つクリアしていこうと取り組み、次の年の初戦である2009年世界選手権で4位に
入賞することができました。

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「日本国内では、フリークライミングのナショナルチームなどは無く、自分の体調やシーズンの
目標に合わせて年間計画やメニューを考え、コーチをしてくれている父に相談しています。
海外の試合の時は、国内トップレベルの選手が全国各地から集まり、
即席で日本代表チームが作られます」と小林選手。
普段は練習のみでなく、メディア対応やスポーツ選手としてのマネジメントも全て自身で行うという。

 

 

卒業後の進路については未定だが、クライミングは一生続けていきたいと話す。
「これまでは学生だったのでクライミングだけの生活をしたことが無いですが、
来年は思い切ってそういう年にしてみるのも良いかなと思っています」

 

良い結果も、悪い結果も、全て自分で受け止める。
そうして一つ一つ目の前の壁を乗り越えてきた小林選手。
家族の支えと、何よりクライミングが大好きだという強い気持ちが想像以上に過酷な
世界のトップレベルを走り続けてこられた原動力だろう。
日本のフリークライミング界を背負って立つ人材として、今後も活躍から目が離せない。

 

(写真提供:小林由佳選手、インタビュー・文責:筑波大学スポーツアソシエーション(TSA)戸波)