2010年2月 2日
柔道グランドスラム・パリ大会の展望 筑波大学柔道部 岡田弘隆監督

2月6日、7日に行われる柔道グランドスラム・パリ大会に、筑波大学からは関係者を含めて6名もの選手が日本代表に選出された。そこで、柔道部監督である岡田弘隆准教授(人間総合科学研究科)に本大会の筑波大学関係者について選手のことや展望について寄稿していただいた。

 グランドスラム・パリ大会に出場する本学関係者は、男子では、森下純平(体専1年・66kg級)、粟野靖浩(体専3年・男子73kg級)、秋本啓之 (了徳寺学園/体育研究科1年・73kg級)、小野卓志(了徳寺学園/体育研究科1年・90kg級)。女子では、福見友子(了徳寺学園/体育研究科2
年・48kg級)、緒方亜香里(体専1年・78kg級)の6名である。

【男子】
 66kg級に出場する森下は、昨年の世界ジュニアチャンピオンで、グランドスラム・東京でも強豪選手を倒して3位に入賞している。シニアのトップ選手としてはまだまだ体力的に十分ではないため、ディフェンス面に課題はあるものの、技のキレ、センスの良さは抜群で攻撃力はこの階級の日本選手の中でも トップクラス。ここで勝って自信を付けたいところ。波に乗ればチャンスはある。

 73kg級に出場する粟野は、グランドスラム・東京で昨年の嘉納杯に続いて2位となり、日本選手最高成績を残している。1月のマスターズでは、2連敗中であった世界チャンピオンのワン・キ・チュン(韓国)に「一本」勝ちし、3位入賞。そこそこの成績ではあるが、なかなか優勝できない。このあたりで優勝をしたいところである。

 同じく73kg級に出場する秋本は、学生時代に66kg級の日本代表として世界選手権出場経験がある。その時は怪我に泣かされてメダルには届かず、その後も最有力視されていたオリンピック代表を逃す等スランプが続いた。しかし、昨年から階級を1つ上げ73kg級に転向。講道館杯、東アジア大会と優勝し、復調の兆しが見える。地力は十分なだけに、ここで優勝して、この階級の第一人者としての地位を固めたいところである。

 90kg級に出場する小野は、81kg級で北京五輪に出場したものの力を発揮できず初戦敗退。その後、階級を1つ上げて90kg級に挑戦している。08年嘉納杯優勝の後、昨年はグランドスラム・パリで準優勝、グランドスラム・モスクワで優勝、ロッテルダム世界選手権では不完全燃焼でメダルに届かなかったものの、グランドスラム・東京で優勝。さらに今年に入って1月のマスターズでも優勝して現在世界ランキング1位。今大会でも第1シードで優勝候補筆頭。ここで確実に勝って日本代表としての不動の地位を築きたいところ。

【女子】
 48kg級に出場する福見は世界チャンピオン。世界ランキングでも1位であり、順当であればまず負けることはないだろう。先日のマスターズでは、修士論文提出のため準備不足で日本人選手(浅見)に不覚をとったものの、このところ外国人選手には負けていない。この階級は日本選手が世界の上位を独占しているのが現状である。今大会でも最大のライバルとなるのは山岸絵美(三井住友海上)だろう。

 最後に、78kg級に出場する緒方は、この1年間で最も成長した選手である。全日本ジュニア、世界ジュニア、講道館杯、グランドスラム・東京と立続けに優勝。筑波大学女子の団体優勝にもオール「一本」勝ちで貢献した。マスターズこそフランスのベテラン・ルブランに敗れたものの、巧さ負けしただけであり、全く自信は失っていない。器用ではないが、日本人離れしたパワー、体力を有し、立技、寝技ともに十分シニアで通用するレベルに達していると思う。ここで勝って、さらに自信を深め、一気に世界チャンピオン、オリンピックチャンピオンに駆け上がるきっかけとしたい。

【日本代表の今大会の展望】
 新聞報道等でご存じの通り、国際柔道連盟試合審判規定が一部改正され、立ち姿勢において下半身を手で攻撃することが禁止された。これにより、北京五輪当時流行したようなレスリングスタイルの柔道が激減し、日本選手にとっては戦い易くなったことは間違いない。しかし、外国人選手の適応能力の高さはこれまでのルール変更時に証明されており、今回もそれほど時間はかからないのではないかと思われる。どのような試合が展開されるかとても楽しみである。男女の各階級、世界の強豪が多数出場すると思われるが、日本選手、特に、筑波大学関係者の活躍に期待したい。

【文・岡田弘隆 柔道部監督】