2009年11月26日
全日本3位〜陸上インカレ三段跳び優勝〜前田和香 筑波大学新聞スポ顔

13メートル。バスよりも長い距離を前田和香(体専1年)は軽々と跳ぶ。ホップ、ステップ、ジャンプ。「助走に入る一歩目から流れをつくる。風を感じながら、より遠くに」。今年、インカレの三段跳びの部門で、見事優勝を果たした期待の新人だ。
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 日本選手権でも3位と、実力のある彼女だが、本格的に三段跳びを始めたのは本学入学後だ。もともと走り幅跳びを専門としていたが、転機は高校2年の時に来た。記録が伸び悩み、どんなに練習をしても思うような結果が出ない。「何で頑張っているのに、伸びないのだろう」。

 そんな中迎えた秋田国体。幅跳びの種目がなく、顧問の先生に三段跳びに出てみないかと勧められた。それまでほとんど練習をしていなかった種目だが、出てみてびっくり、優勝してしまった。初めて挑戦した三段跳びは、新鮮であった。

「何でも楽しくやろう」前向きで、ひたむきな性格から、どんどん記録を伸ばしていった。

 普段は、おっとりとした雰囲気を持つ普通の女の子。どこに強さの秘訣があるのだろうか。「彼女の素晴らしさは、意志の強さと探求心の深さ」と先輩の翁晋平(同3年)は言う。練習メニューはコーチと相談しつつ自分で決める。朝練も自主的に取り組んでいる。「他の種目も三段に生かせればいいという感じでバランスよく練習を行っている」という通り、三段跳びだけでなく、幅跳びや短距離の練習にも励む。

 コーチの小山宏之(本学職員)は「助走に安定感があっていいが、まだまだこれから伸びる選手」と期待に胸を膨らませる。日本の女子三段跳びのレベルは高くない。世界に挑戦するためにはあと1㍍は記録を伸ばす必要がある。

 「目標は日本記録14㍍04を更新すること。そして、4年後のロンドンオリンピックに出場したい」と世界を視野に入れている。

 三段跳びで決してやってはいけないことは、一つ。跳び急いで、流れを崩すこと。ただ自分の中のリズムを感じて、彼女は今日も練習に励む。


【写真・文=鳥本剛司/筑波大学新聞281号より】