2012年6月29日
【筑波大学新聞コラム】 硬式テニス 菅村恵里香(体育2) メンタルの強さで勝負

  supogao-on.jpg関東学生テニストーナメント大会(春関).成績優秀者は夏に控えたインカレの出場が決まる.この2年間,早稲田大の選手が男女とも優勝するなど同校の独断場だったが,今年の「春関」は異変が起きた.本学のホープ,菅村恵里香(体育2)が準決勝,決勝と早稲田大の選手を破り,優勝の栄冠を飾ったのだ.


 圧巻だったのは準決勝だった.相手は第1シードで優勝候補筆頭の大竹志歩(早稲田大).「自分が攻めて,思い切りテニスをした」.序盤から相手のバックハンドを果敢に攻め,第1セットを先取する.だが,第2セットはミスが目立ち,落としてしまう.迎えた第3セットは3-3のシーソーゲーム.だが,そこから3ゲーム連取し,6-3で勝利した.「守りに入らなかったことが大きい.自分でも勝てるとは思わなかった」と菅村.終始積極的なテニスを貫いた.


 春関以外にも,入学以来同大の選手と何度も熱闘を演じてきた.普段はおっとりとした話し方の菅村.だが,試合で見せる集中力の強さは本物だ.「早稲田大の選手は,自分にはないセンスがある.技術面では彼女らにかなわない」と話すが,「思いっきり行く」.そんなテニスで何度も相手を退けてきた.


 特に印象に残るのは,昨年8月の関東学生テニス選手権大会(夏関).この大会で菅村は2回戦で菊川栞選手(早稲田大)と当たる.高校時代から6連敗中の相手だ.ファイナルセットも0-3の劣勢からのスタート.しかし,そこからの粘り7-5で勝利.この勝利で勢いづいた菅村はその後も勝ち上がり,入学後初の栄冠を手にした.


 菅村の「思いっきり」のよさは高校時代に培われた.テニス部だった姉二人は実家のある熊本から福井県の仁愛女子学園に進学.インターハイの常連校である.「高校に入って大人びた姉たちにあこがれて」.彼女も後を追うように同校に入学した.待ち受けていたのは,厳しい練習と勉強の両立の日々.寮生活では先輩と後輩の上下関係にも悩み,何度もテニスをやめようと考えた.だが,「中途半端では終わらせたくない」.そんな気持ちも彼女を突き動かした.3年生のときに出場したインターハイでは団体でベスト4,個人戦でも3位に入った.「精神面での強さは高校時代に鍛えられた.おかげで今は大事な場面でも緊張はしない」と話す.


 大学では高校時代に比べ,先輩後輩関係も厳しくなく練習量も多くない.そんなのびのびとした環境が自分に合っていると話す.休日には高校時代にはかなわなかった友人とのショッピングを楽しむ.「本当は大学に入ったらテニスを続けたくなかったんですよ」.冗談紛れに笑う彼女だが,今もテニスを続けている理由については「負けるのがいや.テニスは生活の一部でやめようと思ってもやめられない」と話す.その言葉には,穏やかな口調と対照に,内に秘めるテニスへの思いの強さがにじむ.


 夢は夏に控えるインカレの優勝.昨年戦った早稲田大の選手に加え,関西地区からも強い選手が加わり,「夢」への道は険しい.「自分は技術面で強みはない.メンタル面の強さで挑んでいく」.高校時代培った経験と,大学に入ってから再確認することのできたテニスへの思い.この2つを武器に,菅村選手は今日も「夢」に向かって突き進む.

 

(筑波大学新聞 加藤茂行=地球学類)